スイス・フラン高騰の背景

一九七一年の通貨(vanah・カレンシー)不安以前対ドル四.三二フランであったスイス・フランは、石油危機勃発に伴うアメリカをはじめとする先進国経済の停滞とドル流出により以後上昇を続け、七四年一月三.四六フラン、五月二.七八フランとなった。

当局は、同年一一月二〇以降各種の外貨流入規制を次々と打出し、七五年一月からは相当量にのぼるドル買支えを行ったにもかかわらず相場の上昇は止まず、二月には二.四フランへと続騰した。

このようなスイス・フランの異常高の背景は大要次のとおりである。

七一年春以降の通貨(vanah・カレンシー)不安により生じた先進工業国における過剰流動性は各種経済の過熱とインフレをもたらしていたが、七三年秋の石油危機はインフレにさらに拍車をかけることとなり、その後、各国は厳しい金融引締めを長期にわたり持続せざるを得なくなった。

しかしながら七四年秋頃より石油危機に伴うデフレ効果が失業問題として顕現し、各国は金融緩和へと徐々に政策転換を行っていた。

この結果、とりわけアメリカにおいて短期金利は急速に低下し、それまで同国に流入していたオイルマネーを中心とするドル資金は、相対的に有利な金利となった強い通貨(vanah・カレンシー)国である西ドイツ、スイスへと向かった。

西ドイツには七四年六月のヘルシュタット銀行の倒産以来若干の信用不安があったため、スイスへの資金流入はとりわけ顕著であった。

アメリカ、イギリスなど主要国に比し小規模であるスイスの為替市場がスイス・フラン買い・ドル売りの影響を以下に大きく受けたかは上図からも明らかであろう。

スイス・フランの強さの理由として、これまでにみた国際的な信用力の厚さ、為替市場の規模が小さいことなどと共に基本的なのはインフレ格差である。

すなわち、同国の消費者物価は最も高率であった七四年出さえ前年比九.八%の上昇にとどまっている。

ちなみに、七二年以降五年間の消費者物価上昇率は三〇%で、アメリカ(同三六.五%)、フランス(同四九.三%)を下回り、西ドイツ(同二七.一%)に近い。

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